第338回 「血と骨 - 3 生きたイカを追う」 より続く
イカの血管を流れる青い血は確かにこの眼で見ることが出来ました。さあ、では、
「どうしてイカの血は青いのか?」
が次の問題になるのですが、ここで早くも道草を食ってしまいます。
我々の好奇心を満たす為に有り難くもその尊い命を提供してくれたスルメイカは手厚く葬って成仏させてやらねばなりません。そう、美味しく頂こうではありませんか。と言う事で青い血を見てから30分ほど経った頃、新鮮なイカ刺をとまな板に乗せたのでした。そこで、改めて先ほどのイカを見て驚きました。
「おおっ、まだ生きている!」
完全に生体解剖されたにもかかわらず、まだ心臓が鼓動を打っているのです。さすがに青い血はもう見る事は出来ませんが、透明な血液(?)が血管の中を流れて行く様子を見る事が出来ました。ドックン、ドックン。間もなく止まってしまうに違いない最後の鼓動です。
「すご〜い、すご〜い」
イカの生命力を改めて思い知らされました。そこでイカの体の仕組みを調べてみました。

すると、この時、色の無い血液が流れていた血管は鰓(エラ)から心臓へと新鮮な血液を戻す鰓静脈、そして頭部から大量の血液を戻す大静脈である事が分りました。
また、イカは通常の心臓の他に鰓の根元に鰓心臓と言う別の心臓を左右に一つずつ持っています。こうして、より効率のよい呼吸を行なっているんでしょうね。上の写真の矢印で示したのがその部分だと思います。この時も僅かに動いていたのですが、明瞭な動きとして見る事は出来ませんでした。
まずは、その動きをご覧下さい。
動画: イカの血管と心臓 (Windows Media 9.6MB)
こうして改めてイカの体を調べていると意外な事に気が付きました。イカを捌いてお刺身にする際、下の写真のA
やB の様な筋を見る事はないでしょうか。僕も気付いてはいましたが、特別に注意を払うこともなく手でブチブチッと千切っていただけでした。敢えて言えば、
「外套膜を支えている筋なのかな?」
と言う程度の認識しかありませんでした。

ところが、これは「筋」などではなく、りっぱな血管だったのです。Aが「外套動脈」、Bが「肉鰭(にくき)動脈」です。生きていた時には酸素タップリの青い血がここをドックンドックン流れていたのです。
「へ〜っ、そうだったのか〜」
知らぬ事とはいえ失礼しました。有難く手を合わせて、結局美味しく頂いたのでありました。
参照:
第340回 「血と骨-4 色の話」へ続く
2009/02/19 記
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