2006年 3月の扉 セミホウボウ




 まあ、貧しいながらも仲良く助け合っている家族が居たとしましょう。いつも喧嘩ばかりしてるけど、そこは兄弟なので僕はお兄ちゃんを頼りにしているとしましょう。

 さて、僕は学校を卒業して就職が決まったとして下さい。会社に出す書類の為に、役所に言って戸籍謄本を取ろうとしました。すると、その僕の欄には「養子」と書かれていたとして下さい。ガ〜ン、ショックです。慌てて家に帰って母を問い詰めると、涙ながらに母は語りました。

 「そうなんだよ。実は、お前のご両親は或る事故で亡くなったの
  で、知り合いだった私がお前を引き取ったんだよ。でもね、母
  さんにとってはお前は本当の息子以上の息子だからね。済ま
  なかったね」

そう言う母の傍ではお兄ちゃんもポロポロ泣きながら頷いています。いや、僕も頭では理解は出来るのです。でも、やはり何処か納得していないのです。小さい頃は、近所のおばちゃん達から

 「やっぱり兄弟だねぇ。お兄ちゃんとそっくり」

ってよく言われていたのに、あれは何だったんでしょう。

 ・・・・とそんな気分です。えっ? 何がって? 実はこのセミホウボウ、名前にも「ホウボウ」って付いているし、何より特徴的な大きな胸ビレ。誰だってホウボウと兄弟だって思いますよね。ところが、ホウボウとセミホウボウはかなり繋がりが薄いのだと最近初めて知りました。ホウボウはカサゴ目カサゴ亜目に属するのですが、セミホウボウはカサゴ目セミホウボウ亜目なのです。だから、ホウボウにとってはセミホウボウなどより同じカサゴ亜目フサカサゴ科のメバルの方がずっと近い親戚という事になります。


 「えっ? ホウボウとメバルは似てるかぁ?」

と、何か釈然としません。でも、涙を流しながら詫びる母を前にしてそんな事は口に出来ないのでした。

2006/03/01 記 
  

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