富戸の麩 (2008/01/12)

2007/12/15 「富戸でキャバクラ」 より続く

 「3連休には海が荒れる」

このジンクスは2007年と共に打ち捨てられた筈だったのに、雨女・雨男の姿も見かけないにもかかわらずやっぱり連休初日はザブ〜ンです。平日は天気も良くて海も穏やかだったのに・・。何だか一年の不吉な幕開け。

 月日; 2008年01月12日(土)
 天候; 雨
 気温; 7〜10℃
 水温; 15℃
 透明度; 12m (うねりで透明度も低下)
 海況; 波が高く午後にはクローズに
 潮回り; 満潮 = 07:53 (143 cm)、 干潮 = 13:14 (80 cm)
       中潮、 月齢 = 4

 さて、暫く間が開いてしまいましたが、長々と続いて来たアオサハギとカイメンの関係のお話。実は海の中であれこれ考えながら調査を続けているのですが、ひとまずは今回で一区切りとしたいと思います。

 アオサハギは一体どんなカイメンを選んで産卵するのでしょうか。昨年タラバイエロー隊員が見たいわゆるサグラダカイメン、日本水中映像が脇の浜で記録した小さな見慣れぬカイメン、両者に共通しているのは、

と言う点です。では、来年は、砂っぽい場所に生えた珍しいカイメンの傍でアオサハギが遣って来るのを待ち受けていればいいのでしょうか。


アオサハギが産卵したサグラダカイメン(矢印の穴の部分)

 でも、それもかなりリスクの高いギャンブルの様に思えます。水中映像のカイメンは何処にあるどんなカイメンなのか今では全く分からないので、今詳細に調べる事が出来るのはサグラダカイメンだけです。このサグラダカイメンに、アオサハギが卵を産みたくなる様な何らかの特徴はないのでしょうか。

 そんな時、このサグラダカイメンに触れてみて驚いた事がありました。カイメンと言うと普通、ゴムの様にボヨヨンとした弾力と少しザラザラとした肌触りがある様な気がします。ところが、サグラダカイメンは全く違ったのです。グニュグニュ、ブヨブヨなのです。例えるならば「みそ汁に入った麩(ふ)」という感じです。

  「えっ? 何じゃこれ?」

と僕は少し驚きました。このブヨブヨ感ゆえにアオサハギが産卵基質に選んだと言う事はないでしょうか。その時思い出したのは産卵直前のメスの動きでした。産卵を間近に控えたメスは、産卵孔を押し付け易いようにカイメンを齧って穴を広げると言われています。日本水中映像のビデオを見ても確かにそんな風に見えました。タラバイエロー隊員もメスはカイメンをツンツン突いていたと言っていました。と言う事は、アオサハギは齧り易い柔らかなカイメンを選ぶのではないでしょうか。

と言うのがカイメンに求められる条件なのではないでしょうか。そこで、富戸に生えているカイメンを片っ端から調べて指先でグニュグニュと押し始めたのでした。


ダイダイイソカイメン


ザラカイメン


ジュズエダカリナ


ヤワクダカイメン


ウシノシタカイメン


ツチイロカイメン






オオパンカイメン


ムラサキカイメン


ワタトリカイメン


クロシンジョウカイメン


クロイソカイメン


シンジョウカイメン





 以上に挙げたカイメンは恐らくすべて別種だと思います(ただし、種名が合っているかどうかは自信がありません)。が、これらは全て硬めのゴム状の感触のものばかりでした。特に、ウシノシタカイメンは造礁サンゴの様にカチカチの造りでした。どれもサグラダカイメンの様な「麩」のフワフワ感からは程遠いものだったのです。


ナミイソカイメン

ハネハリカイメン

 そんな中で、フワフワの感触を有していた数少ないカイメンがナミイソカイメンとハネハリカイメンでした。

 よって、

と言う事がアオサハギの産卵基質としての条件であるとするならば、富戸の海では、サグラダカイメン、ナミイソカイメン、ハネハリカイメンが選ばれる筈です。ところが、ナミイソカイメンは高さがないので、卵を納めるには容量が足りないのではないかなと思われます。よって、

と言う事が条件ならば、サグラダカイメンとハネハリカイメンだけが残ります。更に、昨年のヨコバマと数年前の水中映像での例で見られた様に、

と言う事までが条件に入るとすれば、今のところサグラダカイメンしかあり得ない事になってしまいます。

 と言ってもこれは僕の勝手な思い入れでしかないので、他にも思いもよらない条件があったり、逆に何の条件もないのかも知れません。でも、とりあえず今年の夏は、

「まずはサグラダカイメンで、次の候補としてハネハリカイメンでアオサハギを待つ」

という作戦で臨みたいと思います。さてこの大予想、いかが相成りますか。半年越しの宝くじであります。でも、くじを引き出しにしまったまま忘れてしまう様に、こんな予想も夏になったら別の事に気を取られて忘れてしまっていましたなんて事は無いようにしなくてはですね。(おわり)

2008/07/05 「おも舵一杯の富戸」 へ続く

2008/01/20  記

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