2007/11/03 「二人目の富戸」より続く
少しずつではありますが冬の足音が近付いて来たのか、朝一番に海に入った途端、何だか暖かい〜っと感じられる季節になりました。
月日; 2007年11月17日(土)
天候; 晴れ
気温; 10〜13℃
水温; 21℃ (少し盛り返したぞ)
透明度; 15m
海況; 少しうねりあり
潮回り; 満潮 = 10:58 (130 cm)、 干潮 = 15:14 (55 cm)
小潮、 月齢 = 7
![]() 11月17日の脇の浜 |
![]() 11月17日の水の色 |
さて、アオサハギとカイメンの話が続きます。
タラバイエロー隊員が目撃したアオサハギの産卵は謎に満ちていました。何より、これまでの報告では(と言っても、正式な報告は東海大学の赤川泉さんからしかないそうですが)、石灰カイメンという珍しいカイメンに選択的に産卵するとされていた点です。何故、数あるカイメンの中で石灰カイメンを選ぶのでしょうか。それは、赤川さんが観察なさった油壺独自の環境に起因するのでしょうか。それとも、今回富戸で観察された例にも当てはまるものなのでしょうか。

アオサハギが産卵したカイメン(矢印の穴の部分)
その為にも、今回アオサハギの産卵の舞台となった上のカイメン(別名:サグラダカイメン・・と言っても僕が勝手にそう呼んでいるだけですが)の名前が是非とも知りたいのです。いや、正確な名前でなくとも、せめてこれが石灰カイメンであるのかどうかだけでも知りたいのです。このサグラダカイメンは富戸ではかなり数少ない種類なのですが、もしこれも石灰カイメンならば、アオサハギはトコトン石灰に拘っていると言う事になります。でも、種類を調べようにも「カイメン図鑑」なんて本は見当たりません。
その様に頭を悩ますのも道理で、普段我々が何の注意も払っていないカイメンの世界は思いのほか深遠なのです。世界中ではこれまで
6,000 種ものカイメンが報告されています。わが国だけでも700種程度です。しかも、正確な種の同定には骨片と呼ばれる微小な骨を精査する事が必要なのだそうです。
「ええ〜? こんなブヨブヨ野郎の何処に骨なんかあるんだ?」
と思ってしまいますよね。それに、このカイメンの何処をどうすれば骨片なんて物が見られるのかが分かりません。一体どれ程の大きさのものでしょう。そこで、この骨片について調べてみました。
カイメンは大きくは、次の4つに分類できるそうです。
・ 石灰カイメン
・ 六放カイメン
・ 普通(尋常)カイメン
・ 硬骨カイメン
硬骨カイメンと言うのは化石種に多い仲間だそうなので、今は初めの3つについてのみ考える事にします。これら
3つの骨片上の特徴は次の様に分けられます。

骨片の成分と形で上の様に分類出来るのだそうです。現実には、六放カイメンは深海性で、ペアのエビがその中で暮らす事で有名なカイロウドウケツカイメンはこの仲間です。ですから、ダイビング・エリアで普通見られるのは石灰カイメンか普通カイメンになり、しかもその大部分を普通カイメンが占めています。
でも、これだけでは何だかよく分かりませんよね。そこで、実際に骨片の形を見てみましょう。

石灰カイメンの骨片

六放カイメンの骨片

普通カイメンの骨片
(「日本海岸動物図鑑」、西村三郎、保育社 より)
む〜っ、なんだか複雑ですねぇ。凡その傾向としては、
と言えそうですが、例外も多いのでややこしそうです。また、主な骨片とは別に微小骨片と呼ばれる小さな骨片もカイメンにはあるそうで、それらもまた複雑な形をしているので、事態を一層混乱させるのです。更に、カイメンの部位によって骨片の種類が異なるものもあるそうなので、もう訳が分かりません。
「それでも・・」
とめげそうになる思いを奮い起こします。今問題となっているサグラダカイメンの骨片は一体どんな形をしているのでしょう。第一、そんなの簡単に見る事が出来るのでしょうか。そして、これも石灰カイメンであったと言う手掛かりが掴めるのでしょうか。そこで、
「申し訳ないっ!」
このカイメンの端部にある小さな煙突部分の一部1cm程をちぎらせて貰いました。これをジップロックに大切に仕舞って持って帰ったのでした。そして、いつも通り愛機の実体顕微鏡・ファーブルで覗いてみたのでした。

サグラダカイメンの表面
あれ〜っ? カイメンの黄色い表面がヌメーッと見えるだけです。骨片などどこにも見当たりません。こんな顕微鏡ではやはり無理なのでしょうか。或いは、素人には手の届かないテクニックが必要なのでしょうか。
ガックリしながらも、悔しい思いがメラメラと燃え上がって来たのでした。 (つづく)
参照:
2007/11/18 「富戸でアルカリ」に続く
2007/11/21 記
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