第292回 「覆面 - その1」 より続く
さて、富戸のダイビング・サービスに突如その姿を現した全スズ振(全日本スズメダイ振興会)。と、他人事の様に書いていますが、実は僕自身も全スズ振の会員なのです。ところが、僕は今まで「会員になります」と申し込んだ事など一度もありませんし、「全スズ振会員募集」と言うお知らせが出た事もありません。

或る日突然、上の様なメールが舞い込んだのです。僕には一体何の事やら分りません。当時は、
「全スズ振って何?」
と戸惑うばかりなのでした。

そして、程なくステッカーが送られて来ました。
「僕の住所までどうして分ったんだ?」
と訝しく思いながらも、こうして僕も晴れて全スズ振会員になったのでした。と言っても、一体どんな活動があるのかは不明のまま、他にどれだけの会員が居るのかも分からぬままでした。僕はいつもと変わらぬダイビングを続けていました。

そして、どうやら会員権は毎年更新されているらしく、年末には新たなステッカーが自宅に届きました。ちなみに、上の写真のライムグリーンのステッカーは、“PROMOTE”
のスペルが誤って “PROMORTE” と印刷されてしまったいわゆる「誤植版」です。その希少価値が一部のスズメダイ・フリークの間では大変な人気を呼び、ヤフー・オークションなどでは信じられない様な値で取引されているのだそうです。
そうこうする内に、これまた知らぬ間に僕は「全スズ振富戸支部セダカスズメダイ部卵数計測課課長及びクマノミ個体識別班班長」に任命されていました。そんなの別に指示を受けなくとも、僕がそれまでも好きでやっていた事なので、
「何を今更?」
と言う感じでした。
そうした全スズ振について、「確かに実体のある組織なんだな」と感じられたのは2006年の事でした。その前年2005年は、ひと夏全てを費やして僕はセダカスズメの卵の数を数え続けていました。話が細かすぎて読者の方々にはあまり評判はよくないようでしたが、僕自身は毎週ワクワクしたよい思い出です。

すると、優れた「スズメダイ活動」を顕彰する「2005年 スズメダイ大賞 - Damselfish
of the Year」がその翌2006年の春、この「セダカスズメの観察」に贈られたのでした。
「ええっ? そんな賞があったの?」
と僕はビックリしました。しかし、賞金・賞品は勿論、公式発表も授賞式もありません。「受賞者が自分で喧伝せよ」と言う主旨のようです。ですから、このスズメダイ大賞が一体何回目で、その前、その後に一体どんな受賞者が居たのかも今もって分からぬままです。
さて、こうした謎に満ちた全スズ振活動の一番の謎は、一体どの様にして会員を募っているのだろうかと言う事です。
「他にどれだけの会員が居るのだろう?」
「あの人も全スズ振なのだろうか?」
首をひねる事は多いのですが、僕と全スズ振を繋ぐのはメールとステッカーだけなので分らぬ事ばかりです。ただ、本HPにもしばしば登場する富戸ダイバー・uni
さんがどうやら全スズ振と深い繋がりがあるようなのですが、ご本人を問い詰めてもただ曖昧に笑っているだけなのでした。
そんな中、僕の耳に入って来たのが、
「全スズ振は死神との取引でとんでもない武器を手に入れている」
と言う噂でした。

それが「スズノート」です。
「こいつを全スズ振の会員にしてしまおう」
と思った人の名前、ニックネーム、ハンドルネーム、HP などを書き込むと、本人の意思にかかわらず自動的にその人は会員となり、知らず知らずの内にスズメダイへの興味が深まると言われています。

しかも、その会員が観察するテーマまでもこのノートで指示出来るのだそうです。と言う事はですよ、もしも僕の名前もこのスズノートに書き込まれているのだとしたら、「僕が好きでやっていた」と思っていたセダカスズメやクマノミの観察も、実はノートの指令に支配されていたかも知れないと言う事です。
「お、怖ろしい〜っ」
さあ、スズメダイ好きのそこのあなた、或いはスズメダイには何の興味もないあなた。スズノートに次に記されるのはあなたの名前かも知れません。
2008/03/03 記
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