第272回  ワル - その2

第271回 「ワル - その1」 より続く

 僕も今では紛れもない中年のオヤジです。10代、20代の頃には自分が中年になる姿など想像も出来ませんでした。そんな頃から

  「こんな中年にだけはなるまい」

と思い、今も、

  「こんな中年でだけはあるまい」

と思っている姿があります。それが、

  「俺も昔はワルだった〜」

って酒を飲む度に管を巻くオヤジです。若い頃には誰もが恥ずかしい事や情け無い事を繰り返しており、僕も思い出すだけで身悶えしてしまう思い出が沢山あります。そんな時代のバカさ加減を酒の肴に笑い飛ばすのならいいんですが、「俺も昔はワルだった〜」のオヤジの話は何だか自慢たらしく聞こえるのです。曰く、

  「大変強かった誰それと1対1の喧嘩をした」 だの、
  「当時みんなが恐れていた誰それに食って掛かった」だの

の話を繰り返し聞かされます。僕の会社にもそんなのが居ます。そのオヤジのウダウダが始まるとウンザリします。

「昔はワルだったか何だったか知らないけれど、今はすっかり座敷犬だな。あんたがあの会議で上司のイエスマンに過ぎなかったから、俺が憎まれ役になって反対の発言をせねばならなかったんじゃないか」

と言いたいのですが酒の席が白けるのでグッと我慢なんて事もありました。

 さて、ワルナスビです。「ワル」と言うほどの迫力の感じられない花であるのは前回ご紹介の通りです。でも、「ナスビ」の名がついているのですから、実は堂々としたワル振りなのかも知れません。そう思ってワルの花のその後を追ってみました。すると・・・。

 1cm程の小さな実になりました。そう言えば、米茄子に似たような形をしています。さあ、これがドンドン大きくなっていくのかなと思っていると、

 それが黒紫のナスビ色になってそれで終わりでした。それ以上成長する訳でも何でもありません。

  「へっ? これで終わり? これがナスビ?」

ワルだワルだと息巻いていた挙句がこの通りです。「俺も昔は・・」のオヤジと同じ位の情けなさです。

  「でも、小さいとはいえナスビなんだから」

と、これをミニミニ焼き茄子にして食べてみようと考えていました。ところが、この茄子はソラニンやサポニンと言う毒素が含まれて居るので食用に適さないのだそうです。

「話のタネにすらならないのか? 本当に口ばっかりで役立たずなワルだな!」

2007/09/07 記

HP表紙へ > 港の情景・最新へ > 港の情景;251〜300へ > 本ページ