第264回  ギシギシ

  「梅雨入り宣言を出したら晴れる」

気象庁を愚弄するようなこのジンクスは今年も生きていました。週末は真夏を思わせる様な強い陽射しと真っ青で穏やかな海。

  「暑い〜、暑い〜」

汗っかきの僕は朝早くから一人騒いでいます。そんな初夏の富戸の海に向かってスクスク育っているのがこのギシギシです。

  「ギシギシ?」

何とも妙な名前ですよね。錆び付いた蝶番や古ぼけた椅子を思わせるそんな軋みはこの草の何処にも見つける事が出来ません。

  ♪ きしむベッドの上で やさしさ持ちより〜 ♪

おっと、「大嫌い」と言いながら尾崎豊の歌がこんな所で思い浮かんで来てしまいました。

 さて、この花のもう一つの不思議がその漢字名です。「羊蹄」なのです。北海道の羊蹄山のあの羊蹄なのです。

  「ようてい〜? この草は北国が原産なのかな?」

と思って調べてみると、日本全国何処にでも普通に生えている雑草のようです。と言う事は、この文字そのままに「羊の蹄(ひづめ)」の形と関係があるのでしょうか?そう思って海岸の崖っぷちにしゃがみ込んであちこち見回していると、

う〜ん、この花の部分以外にはそれっぽい物が見当たりません。それにしても、茎や葉の色と見分けの付かない何とも地味な花です。赤や黄色のもう少し派手な装いは出来なかったのでしょうか。

  「ところで、羊の蹄って一体どんな形をしているんだぁ〜?」

よく考えてみたら肝心の事が分っていないのに気付きました。僕が遣ってる事っていつもそんな物です。

  「あ〜、疲れた疲れた」

崖っぷちに無理な姿勢でしゃがみ込んでいたので、すっかり肩が凝ってしまいました。そこで腕ををグルグル回すと、僕の四十肩は確かに

  「ギシギシ」

と軋んだのでした。

2007/06/17 記

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