第306回  クマドリカエルアンコウ


2007/09/17 ヨコバマ 水深 18m 岩場 水温 22℃ 全長7mm

* * * *

 数年ぶりに見るクマドリカエルンです。

この種の人気者が登場すると、その一帯がダイバーで溢れ返ってしまいます。行列を作って魚を見るのも、自分の後ろに行列が出来るのも嫌なので普通は

  「くわばら、くわばら」

と近付かない様にしています。しかし、

  「このクマドリだけは一度見ておいた方がいい」

と勧める声に背を押されて覗いてみました。一見して

「うぉ〜っ、小さい〜っ! 本当にオモチャみたい! 確かにこれは可愛いなぁ」

小指の爪ほどもなかったので 1cm 以下の個体でしょう。この日はザラカイメンの上に居たのですが、表面のデコボコに隠れてしまいそうな小ささです。でも、こんなチビでも隈取模様だけはしっかりあるのですから天晴れなものです。さてそこで、パンパンと手早く数枚の写真だけ撮って足早にその場を後にしました。

 その後、この場所を通り掛ることが2〜3度あったのですが、遠くからでもあそこと分かるほどの人だかりが続いていました。そこで気になったのはこのザラカイメンです。カエルンをお気に入りのアングルで撮るためでしょう、カイメンは押し広げられる、捻じられる、ひねられる、果てには折り曲げられていました。

  「え〜っ、そんな事してると・・」

と思っていたら案の定、翌週にはこのザラカイメンは完全に姿を消してしまっていました。自分では勿論動く事が出来ず、体内に海水を出し入れする事だけで生を繋いで来た生き物です。抵抗したり逃げ出す術もありません。

 ダイバーと海の生き物との関わり方は、簡単に結論付ける事が出来ない難しい問題です。僕自身が考えるべき課題でもあるでしょう。しかし、物言えぬあのザラカイメンは我々人間に何か訴えたかったのではないだろうか。そんな思いがしてならないのでした。

2007/10/18 記

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