第298回  オジロスズメダイ


2007/08/11 脇の浜 水深 3m 岩場 水温 24℃ 全長1.5cm

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 まあ、名誉職と言うか閑職と言うか、つまりは窓際族と言う訳です。

 全日本スズメダイ振興会(全スズ振)幹事長のうにさんより、「富戸支部セダカスズメダイ部卵数計測班・班長」と「同、クマノミ部個体識別係・係長」の要職を任ぜられ、今年の夏も僕はせっせとセダカの卵を数えたりクマノミの体の模様をスケッチしたりしていたのです。でも、どうも変です。よく考えてみると、班長、係長と言いながら部員が一人も居ません。ひょっとしてこれは「要職」ではなく「閑職」じゃないのかな? そこで、疑問をうに幹事長にぶつけてみました。すると、

「い、いや、どちらの仕事も余人を以っては代えがたいので、あなた以外では務まらないのです」

 なるほどそうなのか。やっぱり大切な仕事なんだなと納得して再び海に向かいます。しかし、傍を通っても誰も覗き込もうともしないセダカの卵を見ていてやはり首を傾げてしまいました。

  「僕って、ひょっとして窓際?」

 よく考えてみればそうです。スズメダイ好きと言えば、可憐で美しい南方系の幼魚を愛でると言うのがやはり王道です。それを効率よく沢山見つけて報告すると言うのが幹事長、そして理事長への近道と言われています。でも、僕はちっちゃな魚を見つけるのは大の苦手で、つまりは万年ヒラ社員と言う訳なのです。

 そんな或る日、Exit 間際に偶然こんな幼魚を見てしまいました。体の模様からするとメガネスズメの仲間の様ですが、目許を通るブルーのラインが全く見られないのでメガネスズメでもクロメガネでもなさそうです。体の色もそれらより地味です。

  「ひょっとしてオジロスズメ?」

 今まで富戸で見た事もないので分からないのですが、とりあえず撮影。そして後ほど図鑑で調べてみるとやはりオジロのようでした。そこで、早速うに幹事長に報告です。でも、僕の普段の識別能力を知る幹事長は、

  「えっ? オジロ? ふぅ〜ん」

と言う感じです。やっぱり疑ってるのかな? それとも特別珍しくもないのかなと念の為に写真をご覧頂くと、

  「えっ? これオジロじゃ〜ん」

と突然ヒートアップです。だからそう言ってるのに。それにしても、スズメダイ百戦錬磨の幹事長にしては今まで見たこともない興奮振りです。そんなに珍しいの?

 幹事長は記者会見とプレゼンテーションの練習を早速始めました。

 こうして定年間近の窓際族の意地を少しだけ見せて、僕はまたセダカスズメの住む岩に戻ったのでした。

2007/08/15 記

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