第225回  オグロクロユリハゼ


2005/11/26 ヨコバマ 水深13m 砂地 水温 20℃ 全長5cm

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 僕は決して若くはありません。中年と呼ばれる世代に首までどっぷり漬かっています。でも、まだ老人だなどとは思っていません。混み合った電車に乗り合わせた時にはまだ席を譲って上げる側だと思っています。

 でも、いつか席を譲られる時が来るのでしょう。その時、一体どんな思いがするのでしょう。

 「『遂に年寄り扱いされるようになったかぁ』と、きっとショックを受
  けるんだろうなぁ」

とこれまでは想像していました。でも、案外、

 「えっ、そうですか? はぁ、助かった助かった」

なんてサバサバしているのかも知れないなぁとも最近思い始めました。

 そんな事を考えたのは、この魚を見ていた時の事です。ハナハゼの幼魚の中にはヒメユリハゼも居れば、イトマンクロユリハゼも混じっています。更に、それらより数は少ないのですが、クロユリハゼだって居ます。もう何が何だかという感じなのです。老眼の身にはかなり辛い作業です。目を細めては何度もシバシバさせます。

 「う〜ん、よく分からんなぁ」

 そんな中にあってこのオグロクロユリハゼは唯一の救いです。体長が4cm程度になれば尾ビレにはもう立派な黒い斑紋が出ています。体色も他よりは綺麗なダークブルーに見え、少し離れた場所からでもよく分かります。ですから、こいつの姿を見つけるとなんだかホッとするのです。「ハナハゼ満員電車」の中で席を譲って貰ったような気分で、中層を凝視していた眉間の皺が一瞬緩みます。

 「オグロ君、どうもありがとう」

僕は素直に礼を言ってドッコイショと腰掛けるのでありました。

2005/12/12 記 
  

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