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中野 秀樹 著 成山堂書店 刊 ISBN: 978-4-425-85271-0 \ 1,600 + 税 2003/08/10 初版発行 150 頁 縦x横x厚; 18.8x12.9x1.2 cm |
サメに関する本と言えば、サメの不思議な生態や多様性、或いはシャーク・アタックを取り上げた本が殆どです。タイトルから察すると本書もそうした類書と同様のものかと思えたのですが、一味違いました。著者が水産庁の職員だからと言う事もあるのでしょうか、「水産資源としてのサメ」という側面がかなり大きく取り上げられています。
サメを材料とする馴染みの食材や加工品と言えば、フカヒレ・かまぼこ・鮫肌のおろし金・肝油くらいでしょうか。しかし、世界的に見るとサメは水産資源としてかなり広く利用されているそうです。様々な魚の漁獲高世界ランキングでは、マグロにしろイカにしろ日本はいつも世界でいつもダントツなのですが、サメに関する限りではインドネシア・インド・台湾と言ったアジアの国々及びスペインやアメリカの欧米に国々に次ぐ7〜8位と言う位置なのです。台湾などでは、あのジンベイザメもが肉やヒレが食用として利用されているのだそうです。
「なんと、勿体無いことを!」
ダイバーとしてはそう思えてしまいますが、そんな思いを安易に押し付ける事は出来ますまい。
しかし、クジラ・マグロ同様、サメもその個体数の減少を危惧する声が世界各地で上がり始めました。人食いザメとして悪名高いあのホホジロザメをも保護対象とすべしとの声も多いのだそうです。
筆者は研究者の立場からか、サメの資源量を調べる方法・現況・そして保護活動の世界の推移をかなり冷静に解説しています。そうはハッキリと述べてはいないものの、
「まずは冷静に確かなデータを蓄積しよう」
と言う立場かと思えます。
必ずしも科学的議論だけではなく政治的な思惑もあるであろう世界でのそんな軋轢を見ていると、
「サメの世界では日本だけが悪者と言う訳ではなさそうだ」
と妙にホッとしてしまう自分をちょっと情けなくも思うのでした。
2008/05/05 記
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