第290回  サメガイドブック

A&A・フェッラーリ 著
御船 淳・山本 毅 訳
谷内 透 監修

TBSブリタニカ 刊

ISBN: 4-484-01412-2

\ 3,500 + 税

2001/07/30 初版発行

256 頁

縦x横x厚; 21.1x15.0x1.2 cm

  サメに関する本を読むと、どれにも必ずサメによる人間への襲撃、いわゆるシャーク・アタックが取り上げられてあります。そして、どれでも

  「サメは決して危険な生き物ではない」

という論旨でくくられています。恐らくそうなのでしょう。例えば、ハンマーヘッド(シュモクザメ)も危険なサメとして挙げられる場合が多いのですが、伊豆の神子元(みこもと)へは、このサメを見る為に恐らく年間何千人ものダイバーが潜っているでしょう。でも、そのサメに襲われたと言う話は聞いた事がありません。僕自身も、以前ガラパゴスの海に潜った時(ええ、そんな所へも昔は行った事があったのです)、何百というハンマーヘッドがすぐ手の届きそうな所でグルングルン渦を巻きながら泳ぎ回っていましたが、危害を加えられそうな気配もありませんでした。

 でもその一方で、サメの魅力というのは、

  「何だか襲われそう」

という不気味さにあるのではないでしょうか。邪悪に見える目、黒々としたボディー、シャープなスタイル、どれもが「ワル」と言うイメージにピッタリです。

 さて、本書は、ガイドブックと言う名の「サメ図鑑」と言った体裁を取っています。でも、富戸の海で潜っている限り、本書で取り上げられている種の99%は一生見る事もないでしょう。では、何の役にも立たないのかと言うと、決してそうではありません。著者はイタリアの水中写真家なのだそうでそのせいでしょう、どの種の写真も非常にしっかりと撮影されており、「サメ写真集」としての側面もあるのです。記事の内容などは殆ど読まず、

  「うわぁ〜、こいつカッコいいなぁ〜」

などと写真だけを見てページを進めてしまいます。歯の標本写真も他のどの本よりもリアルに見えます。

  「うぅ〜、この歯にちょっとだけ噛まれてみたい〜」

などと思うのですから、人間は何とも勝手な生き物です。

2008/04/09 記

HP表紙へ > はてなの定置網・最新へ > 分類別書庫へ