第288回  サメの自然史

谷内 透 著

東京大学出版会 刊

ISBN: 4-13-060170-9

\ 4,200 + 税

1997/11/17 初版発行

272 頁

縦x横x厚; 21.6x15.6x1.9 cm

 外国にダイビングに行くと(と言っても、もう10年近くそんな贅沢をした事はありませんが)、サメとウツボを見ると欧米のダイバーが異様な程テンションを上げるのを見て驚く事がありました。獰猛なイメージの魚が人の心を揺さぶるのでしょうか。でも、富戸の海で見る事が出来るサメらしいサメは、ネコザメ、ナヌカザメ、ドチザメくらいでしょうか。どれも大人しくて、「獰猛」と言う印象からは程遠いものです。ですから、富戸ダイバーにとってはサメと言うのは決して身近な魚と言う訳ではありません。

 一方で、サメは4億年近い進化の歴史の中を生き抜いて来た生き物である上、大きな体、特異な生態、生理、行動を持つものも多いせいか、サメに関する本はかなり出ています。でも、

  「オスはメスに噛み付いて交尾する」 とか
  「母親の子宮の中で子供同士が共食いする」 とか
  「地磁気を感じる特別な器官がある」

と言った目立つ点ばかりが取り上げられがちで、いざサメに関する資料を詳細に当たってみようとした時には、意外とどの本にも書いていないのに驚きます。例えば、サメは一体どんな餌をどれくらいの割合で食べているのか、どれくらいのペースで成長していくのか、生まれた時にはどれくらいの大きさなのか、そんな事がキッチリと数字で記されているのは、僕が知る限りではこの本だけです。また、引用文献も豊富です。ですから、サメについて調べてみようとした時に最初に開くのが本書です。

 ただしそれだけに、読み物として読むには少し退屈ではないかと思います。一種の「サメ事典」として用いるのが適当でしょう。でも、この種の本は数は出ないかも知れませんが「無くてはならない」本の一つです。息長く販売を続けて欲しいと思う次第です。

2008/03/26 記

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