第284回  スクーバ・ダイビング入門 海に潜った!

中山 千夏 著

築地書館 刊

ISBN: 4-8067-4529-4

\ 1,000 + 税

1995/05/08 初版発行

200 頁

縦x横x厚; 18.8 x 12.8 x 0.6 cm

 芸能人や文化人、スポーツ選手、政治家など、いわゆる有名人の中にも、

  「ダイビングが趣味です」

と言う人はかなりおられる様で、ダイビング雑誌などでしばしば取り上げられています。でも、その多くは「南の海での極楽ダイビング」と言うスタイルではないでしょうか。そう言えば、石原東京都知事も公務にかこつけて自衛隊機で小笠原へダイビングに出かけてたって話題になった事がありましたよね。その一方で、

  「伊豆のキュウセンが好きです」

なんて言う地味な有名人など居ないと思います。だからなのでしょう、関東では有数のダイビング・スポットと言っていい富戸で芸能人ダイバーを見る事などほとんどありません。そんな中にあって、中山千夏さんは長い間伊豆を潜り続けている稀有な存在です。富戸でも何度もお見掛けしています。こう言っては失礼なのかもしれませんが、有名人らしいオーラは感じられず、多くのダイバーの中に「おばさん」として馴染んでいます。今年還暦を迎えるに見合った外見です。そして驚いた事に、よく見る「芸能人ダイバー」とは違って、綺麗綺麗なウェットスーツではなくいつも真っ黒な六半ウェットで潜っておられるのです。またある時は、破れたウェット・スーツの一部をガムテープで応急修理しておられました。僕は、

  「うわっ、この人は本物だな」

と感心したものでした。

 ところで、「有名人」と先に書きましたが、千夏さんが今の若い人達にとってどれだけ有名なのかは僕には分りません。でも、僕には、「時代と格闘して歳を重ねて来た」と感じられる人です。

 子供の頃、毎日楽しみに見ていた「ひょっこりひょうたん島」の博士の声。そして、伝説上のテレビドラマ「お荷物小荷物」での溌剌とした演技。あんなにも破天荒で挑発的な番組は現代の生温いドラマには望むべくもないでしょう。また、今聞けばちょっと照れ臭い歌詞の「あなたの心に」は、千夏さんの伸びやかな歌声と共にいつまでも残る名曲です。

 やがて、女優業から足を洗い、当時で言う「ウーマン・リブ」をはじめとした社会・政治運動へと傾いて行きます。その延長上でヌード写真の撮影なんてのが話題になりましたっけ。西条凡児さん(ある年齢以上の関西人しかご存知ないと思いますが、一昔前の漫談家、司会者。「素人名人会」「おやじ万歳」を長年担当)が

「こんなちっちゃい子役時代に『おとおちゃん』て言うて父親役の私に抱きついて来た子が、いまやヌードやなんて・・」

と嘆いていたのを思い出します。そして、政治家へ、更には作家活動へ。最近では、夢中になっているオンライン・ゲーム上で知り合った顔も知らない男性との恋愛事情を赤裸々な本になさっています。バーチャルな世界での惚れた腫れたなんて10代の高校生の話のようですよね。いやはや、ヘナチョコな僕には付いて行けそうもないエネルギーです。

 そんな千夏さんが、タンクを背負って生まれて初めて潜った海は何と富戸の港内だったのだそうです。1992年の夏と言うから、僕がダイビングを始めたのと殆ど同じ頃の事です。こりゃあ、当HPで取り上げない訳には行きますまい。

 さて、「スクーバ・ダイビング入門」というタイトルにもある様に、本書はノン・ダイバー向けの指南書と言う面もあるので、我々ダイバーには情報としての目新しさは感じられません。しかし、IOP・富戸を潜るダイバーにとっては、地元で馴染みのガイドさんが次々と登場するので、楽屋落ち的な楽しみを味わう事も出来ます。

2008/02/25 記

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