第272回  魚介類の寄生虫ハンドブック

東京都市場衛生検査所 編

東京都情報連絡室 刊


\ 1,240 + 税

1988/08 初版発行

42 頁

縦x横x厚; 26.3x18.8x0.8 cm

 魚に付いた寄生虫を調べようとする時、一番初めに突き当たる難問は

  「これは一体何と言う虫なのか?」

と言う事です。こんな時に、

  「あぁ、寄生虫図鑑があればなぁ」

と思うのです。ところが、さすがにそんな本は残念ながらまだ世に出ていないと思います。売れないだろうと言う判断もあるでしょうし、寄生虫についてまだ十分に分かっていない面が多いと言う事もあるでしょうし、また、寄生虫の種の正確な同定が肉眼だけでは難しいという面もあるでしょう。

 「寄生虫」と言った時、多くの人が想像するのはまず人間の寄生虫です。更に、、「魚介類の寄生虫」と言えば、サバやサンマ、スルメイカと言った食卓でお馴染みの寄生虫を思い浮かべるでしょう。だから、

  「ガラスハゼに付いてるこの寄生虫は何だろう?」

と思っても最早お手上げなのです。

 そんな中、薄くて不十分であるとはいえ、僕が知る限り唯一の「寄生虫図鑑」と呼べるのが本書です。しかも、発行が東京都なのです。1ページ1種を取り上げ、その生活環や生態、寄生する魚などの解説も行き届いています。

  「魚屋さんで買って来た魚に何か虫が付いていて気になる」

と言う場時に調べるにはこれで十分なのかも知れませんが、まだ種数が少なすぎます。でも、まずは一歩一歩でしょう。

 でも、もっと重大な問題があります。この本は既に絶版になってしまっているのです。他に類を見ない本であり、一般の人にも役立つし、東京都が出しているのだから、売れ行きなどそれほど気にする必要はない筈です。いや、気にするべきではありません。おそらく、こういった分野にも予算の締め付けが厳しくて継続出版の断念を余儀なくされたのでしょう。

 東京シティーマラソンの恐らく1%にも満たない予算で、本書の継続刊行は可能の筈です。石原さん、都の財政にはまだ余裕があるはずなんだから、こんな目立たぬ所にこそ光を当ててください。

2007/11/18 記

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