第257回  百年の愚行

Think the Earth Project


ISBN: 4-901818-00-7

\ 2,400 + 税

2002/04/22 初版発行

240 頁

縦x横x厚; 18.9x13.2x1.1 cm

  富戸・ヨコバマへの「百年網」設置を記念して、今回はその名もズバリ、「百年の愚行」のご紹介です。

 本書は、環境破壊・人権侵害・貧困・戦争 など人間が為して来た様々な愚かな行為を100枚の写真で取り上げた写真集という体裁を取っています。1ページ、1ページを見て行くと、確かに重い写真が満載です。銅鉱山の廃液によって真っ赤になってしまった池、酸性雨で全山ハゲ山になってしまったチェコの森、製紙工場からの廃物として山よりも高く積まれた木屑、生産調整の為に捨てられた見渡す限り一面のトマトなど。そして、何より目を見張ってしまうのは度々掲載される死体の写真です。ドブ水の中に浮かぶアフガニスタン兵の写真の顔は見分けも付かぬほど崩れており、ベルリン市街戦で倒れたソ連兵は眠るように横たわり、インドで起きたアメリカ化学工場からの有毒ガス漏出事故(1万6千人が死亡)によって亡くなって埋葬されんとする子供は人形の様にすら見えます。

 何だか胸が塞がる様な場面が続きます。どれもが、今も世界のどこかで進行している事であり、目を瞑(つむ)ってはならない事なのでしょう。そして、これらの写真の重さこそが多くの人の心を動かすのだろうと思います。それ故、「現代人として避けては通れない」として本書は多くの読者の支持を集めているようです。

  「でも・・」

と僕は敢えて注文を付けたいと思います。これらから目を背けたいと言うのではないのですが、本の造りとしてもう少し余裕が欲しいなと思うのです。「百年の愚行」と言うのはとてもよい書名だと思います。このタイトルを見た時、僕が想像したのは、

  「人間は何てバカな生き物なんだ」

と嘆きながら笑い飛ばせるテーマを次々と取り上げた内容なんだろうなと言う事でした。しかし、本書には「笑える」要素は皆無なのです。戦争や環境破壊に正面から取り組んだ写真集ならばそれでよいのですが、「百年の愚行」と言う切り口には本書は余りにも生真面目に作り過ぎている様に思えるのです。少し息が詰まりそうにも感じます。

  「それこそが狙いであり、今や地球の実態はそこまで切羽詰っているのだ」

と作者は言いたいのかも知れません。でも、さればこそ尚更もう少し余裕を持って、

  「やれやれ」

と苦笑いできる程度の「遊び」や「ひねり」を持たせて、読む人の頭の中に考える余裕を与えて欲しいなと思うのでした。

2007/07/06 記

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