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有元 貴文 著 大修館書店 刊 ISBN: 978-4-469-21309-6 \ 1,500 + 税 2007/03/10 初版発行 234 頁 縦x横x厚; 18.9x13.2x1.1 cm |
「地形派」「大物派」「マクロ派」など、それぞれの好みに応じてダイバーがグループ分けして論じられる事があります。その中に「群れもの派」と言う一団も居ます。確かに、特別珍しい魚でなくとも何百・何千と言う数が群れているというだけで圧倒的な迫力があります。しかも、ソウダガツオの様に目にも止まらぬ速さで全員が高速で同じ方向に泳ぎ去って行く群れもあれば、キビナゴの様に全体が様々に形を変えて2つに分かれたりまた合わさったりという群れもあります。
「一体どの魚があの群れの動きの統率を取っているんだろう」
と不思議に思いますよね。
本書では、群れを作る事が魚にとってどんなメリットがあり、それがどの様に維持されているのかが魚類の研究者である著者によって分り易く説明されています。魚は、単独で居る時よりも群れの中で居る時の方が酸素消費量が少ないというのは成る程と思える話でした。魚も大勢の仲間の中に居る時の方がホッとしているんですね。
但し、本書で魚群について述べられているのは始めの30ページ程度しかなく、特に、「あの複雑な魚群の形がどの様に出来上がって変化して行くのか」という興味ある点についてはサラッと流したと言う感がありました。難しい研究領域ではあるのでしょうが、一番興味ある点であっただけに残念でした。
本書の中盤から後半は「魚の五感」「魚の学習能力」と言った生理学的な話題が続きます。そんな中で特に面白かったのは、釣り上げられた魚が一体どんなストレスを感じているのかを、内分泌物や心拍数の変化で測定しようとする試みでした。そして、そうした研究の延長として、
「キャッチアンドリリースする魚への負荷をもっとも低減するにはどうすればよいのか」
を定量的に検討しているのです。釣り上げられた後に再び海に戻されたとしても、魚は意外と長い間興奮状態にあると言うのは説得力のあるお話です。こんな事がテーマに上るというのも時代の流れなのでしょう。
2007/06/22 記
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